悲しみを表すかのような雨が降っていた午前8時

その日は、雨が降っていた。雨はとても静かに降っていて、なんだか気持ちが心做しか雨のおかげで穏やかになった気分になった。朝8時に起床をして、窓を開けて伸びをして、東京タワーを見ながら「今日も1日頑張ろう」って呟くまでが僕の日課だった。でも、今日は雨が降っていたので東京タワーがはっきり見えなかった。その習慣を終えるといつもレンジでトーストを焼く。その日の気分によって、トーストの上にのっている液体を変えている。いつもはイチゴジャムやぶどうジャムをのせて食べているが今日はなんとなくベタベタのマーガリンの気分だった。そしてそれを缶コーヒーで流し込む。テレビはいつもつけていない。テレビなんか人々の欲望を掻き立てて商品購入を仰ぐただのゴミだからね。最近はネットでもニュースやエンタメが堪能出来るのでそちらで事足りている。
一連の朝の支度を終え、僕改めて実感した。
今日をもってこの家を出ること。
君とお別れをすること。
そういえば、次の誕生日プレゼントをあげられそうにない事に気がついた。
「まあいいか」
僕は、彼女に別れを告げる事はなく、今日東京に旅立つ。
別れを告げるとあいつはきっと悲しむだろうから。
ごめんね、こんな人間で。
幸せになってね。
それじゃあバイバイ。
そう呟いてから、僕は家を出た。